石油価格の長期見通し

今年に入ってからの石油価格は、地政学的な要因によって大きく変動し、インフレ率を左右する要因としても注目されています。本稿では、地政学的要因よりも長期的な背景に着目し、今後の原油価格を展望します。
島倉原 2026.10.21
サポートメンバー限定

11月の米国中間選挙を前に、石油価格が激しく変動しています。

トランプ米政権が、支持率低迷の要因とされているインフレ率の引き下げを狙って、石油価格を引き下げる政策をなりふり構わず打ち出しているのがその背景です。

昨年末には1バレル57ドル程度だったニューヨーク原油先物価格は、今年4月に一時112ドルを超え、直近10月には90ドル台前後で推移しています。

今年に入ってからの原油高の最大の要因は2月に始まった米国とイスラエルによるイラン攻撃(がもたらしたホルムズ海峡封鎖)なので、インフレはトランプの自業自得と言うしかないのですが、中間選挙まではイランを追加攻撃しないと言ってみたり、ロシア産軽油に対する制裁を一時的に緩和したり、挙句の果てには(両当事国が認めていないにもかかわらず)ロシアとウクライナが互いのエネルギーインフラへの攻撃停止で合意したと言ってみたりと、価格を引き下げるためなら何でもありの状態です。

一方で、イラン戦争が波及する形で米ロと並ぶ産油国であるサウジアラビアの石油施設がフーシ派からの攻撃にさらされていることから、そうしたパフォーマンスによる価格低下は一時的で、しばらくするとまた上昇し、結局のところ高止まりしている状況です。

では、日本を含む世界のインフレ率への影響も大きい石油価格は、中間選挙後にどのように推移するのでしょうか。

トランプのパフォーマンスや中東情勢よりも根本的と言っても過言ではない、より長期的な価格メカニズムから考察してみたいと思います。

この記事はサポートメンバー限定です

続きは、1754文字あります。

下記からメールアドレスを入力し、サポートメンバー登録することで読むことができます

登録する

すでに登録された方はこちら

サポートメンバー限定
民主社会主義とは何か:実はマルクス主義とは真逆な「ニューディール主義」...
読者限定
新自由主義の極致としてのプライベート・エクイティ
読者限定
バークシャー・ハザウェイの投資戦略と景気循環
サポートメンバー限定
AIバブル崩壊の予兆?
読者限定
右派と左派をどう定義するべきか
読者限定
共産主義者からMMT派に転向した?斎藤幸平氏
読者限定
「左派の経済理論」であるMMTが重要な理由
読者限定
緊縮・改革路線が続く?文化政策