株式市場急落の本質——トランプ政権は、なぜ株安要因なのか

先週、米国による相互関税発表を受けて世界全体で株価が急落しましたが、株安には関税よりもより長期的・根本的な背景があるというのが、経済学的研究にも基づく筆者の見方です。そうした見方に基づく現状分析と、今後についての一定の見通しを述べています。
島倉原 2025.04.09
読者限定

先週は、4月2日にトランプ米大統領が世界各国の輸入品を対象とした相互関税の導入を発表したことを受け、3日・4日に世界全体で株価が急落しました。週明けの株式市場でも、不安定な状況は続いています。

そこで語られているストーリーの多くは、米国の相互関税、あるいはそれに対する各国の報復措置などによって世界経済が収縮し、株価の裏付けとなる企業業績も落ち込むのではないかというものです。

確かに、米国の相互関税やそれに対抗する各国の措置が、世界の経済や株価にとって一定のブレーキとなることは間違いないでしょう。

しかしながら、筆者は、今回の株安にはより長期的で根本的な背景があると考えています。

そうした観点からすれば、トランプ政権は、関税よりももっと重要な意味で、株安要因ではないかと考えられるのです。

この記事は無料で続きを読めます

続きは、2988文字あります。
  • クズネッツ・サイクルがもたらす周期的なITバブル
  • 停戦を急ぐトランプ政権が株安を加速する
  • 現在のような局面で避けた方が良い株式投資の手法

すでに登録された方はこちら

サポートメンバー限定
なぜエヌビディアの株価は下落しているのか
読者限定
なぜ貴金属はお金の材料に用いられてきたのか
読者限定
株式バブルを示唆する1枚のグラフ
読者限定
高市政権の経済政策に対する懸念
読者限定
バブル崩壊寸前?の金融市場
読者限定
経済システムのイノベーターとしての近代ヨーロッパ国家
読者限定
なぜ消費税は社会保障の財源として不適切なのか
読者限定
インフラ再公営化はなぜ合理的なのか