伝統文化を破壊する緊縮財政

脚本家の大石静氏が、伝統芸能の存続を危うくしている日本政府の新自由主義路線を批判しています。これは、長年にわたる緊縮財政が、日本経済の停滞のみならず、社会に様々な弊害をもたらしていることの典型例と言えるでしょう。
島倉原 2025.12.31
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12月28日、日本経済新聞朝刊の文化面に「伝統芸能の力」と題するコラムが掲載されました。

執筆者は、脚本家として著名な大石静氏です。

上記コラムでは、2023年10月以来閉場されている国立劇場の建て替え工事終了時期が2033年度から2036年度に延期されたことによって、守るべき伝統芸能、特に文楽の存続が難しくなっていることへの危機感が表明されています。

そして、伝統芸能の拠点である同劇場を13年も閉鎖するという異常事態を放置している国(日本政府)の姿勢が批判され、建て替え難航の要因となっている、PFI方式の見直しが提言されています。

PFI(Private Finance Initiative)とは、民間資本主導で公共の施設やサービスなどの建設・運営を行う枠組みで、民間が持つ資金・技術・経営ノウハウ等を活用することによって建設や運営を効率的に行うことを目指したものです。

日本では1999年にPFI法(民間資金等の活用による公共施設等の整備等の促進に関する法律)が成立し、上記コラムでも指摘されているように、「聖域なき構造改革」を掲げた小泉純一郎政権下の2001年6月に決定された「骨太の方針」で推進が明記されて以降、PFIが本格的に導入されることとなりました。

金儲けにはそぐわない伝統芸能の拠点である国立劇場の運営に、「稼げないものには価値がない」という考え方に基づく構造改革路線やPFIを当てはめることがそもそも無理であり、その結果として建て替え工事が難航しているというのが、大石氏の指摘です。

これは、1990年代後半以降の緊縮財政が、社会に重大な悪影響を及ぼしている典型例と言えるでしょう。

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続きは、1887文字あります。
  • 緊縮財政下で大幅に削減された文化への投資
  • 自らの存在意義をはき違えた国家の末路

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